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内海聖史

インタビュー:絵画作品と空間の関係性                    


アートフロントギャラリーで現在開催中の内海聖史個展「方円の器」は、いよいよ今週末で終了となります。


内海聖史 - 方円の器
会期:2012105日(金) 〜 1021日(日) 

時間:11:0019:00 ※月曜休廊
会場:アートフロントギャラリー

展覧会に関する詳しい情報は、こちらをご覧ください。

 

前回では、過去の展覧会を通して見える、空間に合わせた展示展開の事例について掲載しました。(前回の記事については、このページを下にスクロールください)

今回は、本展覧会のインスタレーション作品とギャラリースペースとの関係性について作家に語っていただきます。

 

 

内海聖史 - 方円の器

 

―今回のアートフロントギャラリーでの展示展開についてお聞かせください。

絵画と空間とを一緒に見せる制作をやっているので、この空間でどういう絵画を見せたらこの空間の特色が表れるかなということを考えて制作を始めました。

受付のあるギャラリー空間の特徴は、複雑な凹凸や奥のスペースへの通路部分であり、今まで色々な作家があの通路に反応し、あそこから右と左とで作品展示を分けたり、もしくは無視するという方向で展開していました。そこで、この通路は(当たり前ですが)通るべくあるスペースだったので、それなら通れなくしてしまうようにすれば、ここを毎回通過していたという事実が見えるのではないかと思いました。

 

アートフロントギャラリー展示空間レイアウト

 

また、受付のあるスペースと、通路を抜けた向こうのスペースでは照明レーンの位置が異なったり、自然光の当たり方、壁の位置など全く違う空間なので、その左右の特色を表すためにも、作品は1点にしました。

2つの繋がる空間に1点の作品を置き、道路に面した別のスペースは1つの空間に2点の作品を置いて対比させた展示にしました。

 

―凹凸のあるギャラリー空間に、弧を手前に描く形の作品となったのは何故でしょう?

個展を毎回やる度に会場の模型を作るのですが、その模型で考えた際に出てきた形なんです。この複雑な凹凸のあるスペースでも円柱状の立体物が見えれば、鑑賞者の頭の中に建築の構造物を取り払った大きな空間を想定できるんじゃないかなと思いました。

こんなに凹凸や複雑さのあるスペースだとは、ここで展示してみないと分からなかったです。普通にフローリングと壁がホワイトの空間だなって思っていたけれど、実際は違った。頭の中だともっとシンプルな空間になっているので、その最初に持っていたイメージに近づけて空間をとらえようと思いました。

一目にそれほど大きく見えない空間にドーンと置きたかったというのもあります。

 

 

「方円の器」展、作品「是空」の展示風景

 

―インスタレーションのようなスタイルが内海さんの作品の持ち味ですよね。

絵はパネルでできているので、物質として空間に与える負荷って小さいと思うんですよ。

壁が3センチくらいせり出すくらいが普通のキャンバスやパネルが空間に与える負荷です。

それでも、それくらいの物で絵の前の空間が劇的に変わっていく事が、絵画の好きな特徴の一つなので、その特徴をもっと前に押し出したくて、作品のより良い見せ方を考えていました。もちろん、20号や30号の絵が展示されていても空間は変わりますが、それをもっと効果的に見せたいと考えています。絵の前にはいつも空間があるのだから、空間ごと考えて作品を制作しなければならないと思っています。

 

―いつからそのような意識で取り組んできたのでしょうか?

1999年に初めて個展をした空間が入り口や通路の機能もある場所でした。展示スペースの中に事務所や隣スペースへの入り口があったりして、中にいる人がすごく複雑な動きをする場所で、たとえ絵画であっても、見る側の意識や、その空間の役割、人の移動の流れや方向を考えざるを得ないと思いました。

それ以来、ギャラリーを選ぶ際も、その空間の特色をなるべく理解して考えるようになりました。

 

―鮮やかな色の作品が多いですが、今回の作品「是空」(受付側スペース)は黒い作品ですね。

いくつか理由はありますが、このスペースは展示が決まる前から何度も観ていて、白いイメージがありました。その白い空間に映える色はなんだろうなって思っていて。向こうの道路に面した空間とも対応しているのですが、七芒星の「是空」は向かいにある歩道橋からも眼に飛び込むようなカラフルな色で、四芒星の「ポラリス」は銀色なので、それらとは違う色で黒にしようと思いました。たぶん同時に決まったのだと思います。

作品の形は、道路側が四芒星と七芒星で似ていますが、作品の名前は七芒星と円柱型が共に「是空(ゼクウ)」としています。別の空間ですが双方の作品に関係性があるようにと思っています。

 

「是空」、油彩、水彩、キャンバス、4560 x 4680mm2012 (「方円の器」展リーフレット画像より)

 

「ポラリス」、油彩、水彩、キャンバス、4800 x 4800mm2012 (「方円の器」展リーフレット画像より)

 

―今回の2つの作品「是空」は、対照的な色合いや形ですが同じタイトルにした理由は何ですか?

カラフルな色も、黒の色も同じ「色彩」だからです。絵画において、ある色彩を選ぶということは、他の色彩の可能性を奪ったことになるわけです。カラフルな方の「是空」は黒の可能性を奪われてしまった。でも、黒い「是空」と2つあることで、お互い多くの色の補完ができると思っています。

 

―制作に関してお聞きしますが、「是空」(受付側スペース)は下絵があるのですか?

作品を描きながら、作品の15分の1のマケットを用意してあります。実際の絵を描いてから、その描かれた部分のマケットを塗りつぶしていきます。先に下絵があると、都市計画をして町を創るように制作が進む感じだけど、僕がやっているのは、既に出来上がっている町の地図を起こしている感じです。それがないと、現在どれくらい作業をやっていて、構図がどうなっているのか分からないので。


「方円の器」展、作品「是空」の展示風景(通路部分)

 

―これからの作品展開についてお聞かせください。また、どのような場所で今後展示したいですか?

与えられた空間の中で、こんなことができる、あんなことができるって毎回考えたいんです。「こういうことがしたいから、こんな場所を探そう」っていうのではなく、これらの展示作品のように、ここの空間が与えられなければ出てこなかった作品というのを生み出したいです。1つ1つの空間でベストな展示を煮詰めていく時に、自分が予想していなかった作品や以前にやったことがなかったような作品ができたら素晴らしいと思います。

空間を使った作品展示の方法は無限にあると思いますが、自分が面白いと思える展示を見たいなと。絵画というジャンルはけっこうやり尽くされた感じがあるけど、本当に考えてゆけば実際は色々な可能性がまだある。それが様々な空間で消化できればいいなと思います。

 

―ありがとうございました。これからの展開も、ますます楽しみです。

 

絵によって作られた空間が好き、と語ってくださった内海さん。その気持ちがインタビュー中でも、そして作品からも伝わってきました。

展覧会は今週末の21日(日)で終了となります。御来場お待ちしています。

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